こんにちは♪ 佐藤です(^o^)丿
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【長時間労働の是正 「貯めて休む」ドイツに学べ】
先進国の中でも日本の労働時間は長い。とくに働き盛り世代の長時間労働は常態化しており、働く人の心身の健康を損なうだけでなく、女性の就労促進や子育てにも大きな障害だ。わが国にとって労働生産性の向上は重要な課題だが、だらだら続く残業などでの長時間労働は生産性を下げる要因でもある。
電通の女性新入社員が過労自殺した事件を契機として、長時間労働や残業規制をめぐる議論も本格化している。政府は「働き方改革」の一環として残業規制の強化を検討しているものの、産業界には一律の上限規制は影響が大きいとして慎重論も根強い。
ドイツでは大手企業を中心に「労働時間貯蓄制度」が普及している。これは社員が残業や休日出勤などの所定外で働いた時間を自分の口座に貯(た)めておき、後で有給休暇などに振り替える仕組みだ。日本も参考にしたい。
過労死や過労自殺が相次いだ電通では、夜10時に全館消灯し、それ以降の残業を禁止した。家で仕事するのを防ぐため、社員が自宅から業務メールを送ることも禁じた。社会的な厳しい批判を受けての措置だが、クライアントを抱える業務の性質上、残業の一律禁止をいつまで続けられるのだろう。
労働基準法は「1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならない」と規定している。ただ、労使が協定を結び、労働基準監督署に届け出れば、時間外労働や休日出勤させることができる。「36(サブロク)協定」と呼ばれる取り決めで、現行の上限は「1カ月45時間」である。
さらに、労使の合意があれば、年6カ月までは上限超えが許される。このため、専門家は「青天井の残業を事実上認めるものだ」と批判している。企業規模や業種への配慮は必要だが、実効性のある上限規制が急務である。
労基法は残業に対し、割増賃金の支払いも定めている。金銭で長時間労働に歯止めをかける狙いもあるが、欧州では所定外労働は割増賃金より休日に代替する動きが主流となりつつある。
EU(欧州連合)指令によると、労働時間の上限は週48時間だ。それでも業務の都合などで社員が残業を求められる場合はある。そのときにドイツで活用されるのが労働時間貯蓄制度である。
ドイツは業務量に応じ、一定期間は1日10時間までの労働を認めている。そうした残業や休日出勤で働いた時間を貯めておき、割増賃金をもらう代わりに有給休暇に振り替えるのが時間貯蓄だ。
この制度は1990年代に始まり、今ではドイツの250人以上の事業所のうち、8割が採用しているという。残業を規制するばかりでは仕事に支障が出かねない。業務の繁閑に応じて一定期間は思い切り仕事をするが、その後は思い切り休むという合理的な仕組みといえる。
長時間労働の是正に加え、女性のキャリア形成にも役立っている。事前に積み立てた時間を子育て期に使えば、仕事から一時的に離れていてもその後のキャリアに響かない。また、男女問わずに資格取得の勉強に充てる人もいるという。貯蓄できる時間や有給休暇に振り替えられる期間は企業で異なるが、オランダやベルギー、北欧などにも同様の制度が広がっている。
日本でも代休制度はあるが、長時間労働には割増賃金を支払うのが一般的だ。労働時間を貯蓄する制度を本格導入すれば、社員が割増賃金を稼ぐために無用な残業をすることも抑制できる。
もちろん課題もある。とくに日本は有給休暇の取得率が低く、たとえ労働時間を貯めても、有給休暇として使えない恐れがあるからだ。
2014年の有給休暇の取得率は日本が47・6%だったのに対し、有給休暇の消化を義務づける欧州では100%近い水準だ。さらに日本では社員に付与される有給休暇は年平均18・4日だが、ドイツやフランスは30日、英国やイタリアなどでも25日ある。
有給休暇を取得できる職場環境がなければ、日数を増やしても意味はない。そのためには従業員の労働時間が減っても、仕事が回るように業務プロセスも刷新しなければならない。意思決定手順の明確化も必要だ。それが「生産性革命」の本質といえる。
日本の製造現場は高い生産性を誇ってきた。それが世界に冠たる経済大国の源泉となった。それに比べてホワイトカラーの生産性はあまり顧みられなかった。例えば1時間の会議を45分で終わらせるなど、工夫する余地はいくらでもあるはずだ。できるところから始めたい。