4月に入って交換する機会も増える「名刺」。ビジネスシーンで初対面の挨拶に欠かせないツールだが、その後も覚えておいてもらうように、似顔絵や写真を入れたり、裏面に経歴を書き加えたりする人もチラホラ。実はその最新版として、文字や図形が飛び出す「立体名刺」が徐々に注目を集めている。
以前から、デザイナーなどを中心に話題になっていたが、最近は名刺作成や印刷を行うメーカーが、個人向けのみならず法人向けにもに立体名刺サービスを展開することが多くなっているのだそう。そこで、初対面でインパクトを残せるユニークな立体名刺を3つ紹介しよう。
■“万華鏡風”立体名刺
東京・八王子にあるワークスペース「Wark」では、木材やアクリルなどを加工できるレーザーカッターを使い、誰も見たことのない新たな「立体名刺」の開発を行っている。紙の上下を指で軽く押すと筒状になる名刺で、その筒の真ん中に、文字や図形が出てくる構造。「小さい頃に見た仕掛け絵本のようなワクワク感、受け取った人が覗くことで完成するというコンセプトを形にした」と話すのは店長の今村誠二さん。立体名刺を作ったきっかけを聞いた。
「仲間内でアート集団を結成し、ときどき集まっては面白いデザインについて話すんですが、そこで最初に出たアイデアが立体名刺でした。実際の制作では、図案を筒の直径内に収めるため、上下左右、奥行きを考え、立ち上がり方を想像しながら立体にするのが難しかったですね」
図案が決まっていて、もっとも単純な構図であれば、作成は1日で可能だという。現在は作成方法やクオリティをブラッシュアップしている段階。受注するのは少し先になるとのこと。
■“組み立て式”立体名刺
オリジナルデザインの名刺を作ってくれる「リキッドエナジーインク」では、イラストの通りに切り取り、組み立てると飛行機になる「零戦名刺」を注文できる。機体や翼に名前や住所、電話番号が記載されているので、組み立てて渡しても面白そうだ。ちなみに、記載事項を送れば、100枚1万800円(税込)、2~3日でできあがるそう。
「過去には、飛行機を作っている会社の方が、プロモーションを兼ねて注文してくれました」(リキッドエナジーインク・上村茂さん)
■“四つ折り型”立体名刺
「新規のお客様との話題作りに苦労している」という社員の声をヒントに生まれたのが、「明間印刷所」の「SHO-BU名刺」。四つ折りで、一度開くと似顔絵が飛び出す。さらに開くと、なかには会社案内や商品紹介などを記載できるスペースがある。100枚1万7000円~2万1000円(税込)で、データ納品後2~3週間で完成。立体似顔絵には顔写真2枚(正面と斜め)が必要となる。
「立体仕様で記憶に残り、商品やサービスも知ってもらえる、ビジネスを加速させる名刺として開発しました。会社案内は返されても、名刺1枚なら受け取ってもらえますよね」(明間印刷所・御手洗裕司さん)
誰もが持っているものだからこそ、人と差をつけて印象深くしたい名刺。社内で許される範囲で、オリジナル立体名刺を作ってみるのもありかも?