誰もが学生時代に「道徳」や「漢文」の授業で一度は触れているであろう「論語」。
中国の思想家「孔子」の教えを弟子たちがまとめた書物であります。
そこには現代を生きる私たちに突き刺さるような「金言」いくつもありますが、一部をご紹介いたします。
【一】とりあえず人のせい
子の曰わく、君子は諸(こ)れを己れに求む。小人は諸(こ)れを人に求む。
先生がいわれた、「君子は自分に〔反省して〕求めるが、小人は他人に求める。」【衛霊公第十五:21章】
子夏が曰わく、小人の過つや、必らず文(かざ)る。
子夏がいった、「小人があやまちをすると、きっとつくり飾〔ってごまかそうとす〕る。」【子張第十九:8章】
【二】まず損か得かで考える
子の曰わく、君子は徳を懐(おも)い、小人は土(ど)を懐(おも)う。君子は刑(けい)を懐い、小人は恵(けい)を懐う。
先生がいわれた、「君子は道徳を思うが、小人は土地を思う。君子は法規を思うが、小人は恩恵を思う。」【里仁第四:11章】
子の曰わく、君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩(さと)る。
先生がいわれた、「君子は正義に明るく、小人は利益に明るい。」【里仁第四:16章】
子の曰わく、君子は上達す。小人は下達す。
先生がいわれた、「君子は高尚なことに通ずるが、小人は下賤なことに通ずる。」【憲問第十四:24章】
【三】人付き合いは波風たてず
子の曰わく、君子は周して比せず、小人は比して周せず。
先生がいわれた、「君子はひろく親しんで一部の人におもねることはないが、小人は一部でおもねりあってひろく親しまない。」【為政第二:14章】
子の曰わく、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。
先生がいわれた、「君子は人と調和するが雷同はしない。小人は雷同するが調和はしない。」【子路第十三:23章】
【四】イライラ、クヨクヨして落ち着かない
子の曰わく、君子は坦(たいら)かに蕩蕩(とうとう)たり。小人は長(とこしな)えに戚戚(せきせき)たり。
先生がいわれた、「君子は平安でのびのびしているが、小人はいつでもくよくよしている。」【泰伯第八:36章】
子の曰わく、君子は泰(ゆたか)にして驕(おご)らず、小人は驕(おご)りて泰(ゆたか)ならず。
君子は落ちついていていばらないが、小人はいばって落ちつきがない。」【子路第十三:26章】
陳に在(いま)して糧(りょう)を絶つ。従者病みて能く興(た)つこと莫(な)し。子路慍(いか)って見(まみ)えて曰わく、君子も亦(ま)た窮すること有るか。子の曰わく、君子固(もと)より窮す。小人窮すれば斯(ここ)に濫(みだ)る。
陳の国で食糧がなくなり、お供の人々は疲れはてて立ち上がる こともできなかった。子路が腹をたててお目みえすると、「〔修養をつんだ〕君子でも困窮することがあるのですか。」といった。先生はいわれた、「君子もも ちろん困窮する。だが小人は困窮するとでたらめになるよ。」【衛霊公第十五:2章】
【五】機嫌をとられれば単純に喜ぶ
子 の曰わく、君子は事(つか)え易くして説(よろこ)ばしめ難し。これを説ばしむるに道を以てせざれば、説ばざるなり。其の人を使うに及びては、これを器に す。小人は事え難くして説ばしめ易し。これを説ばしむるに道を以てせずと雖ども、説ぶなり。其の人を使うに及びては、備わらんことを求む。
先生がいわれた、「君子には仕えやすいが喜ばせるのはむつか しい。道義によって喜ばせるのでなければ喜ばないし、人を使うときには、才能に応じた使いかたをするからだ。小人には仕えにくいが、喜ばせるのはやさし い。喜ばせるのに道義によらなくても喜ぶし、人を使うときには、何でもさせようとするからだ。」【子路第十三:25章】