「投資にチャレンジして、将来に備えてお金を増やしたい」…そう考えている人は多いはず。でも、いきなり株やFXに手を出すのは不安だと思う人も同様に多いでしょう。
そんな時にオススメなのが「投資信託」。投資家から集めた資金を専門家が運用する金融商品です。運用を一任できるのでラクですが、手間賃=手数料がかかります。もし利益が微小な場合は、ほぼプラスが出ないどころか、マイナスになることも。
そこで、投資信託の手数料の実情について、株式会社マイエフピーのファイナンシャルプランナー・宮城享(みやぎ ちか)さんに聞きました。
「投資信託における手数料には3種類あります。1つ目は『購入時手数料』。証券会社の商品を購入する時にかかり、毎月一定額を積み立てる場合は毎月かかり ます。高いところは購入価格の3%(年率)ほど。最近は『ノーロード』と呼ばれる購入時手数料がかからないものもあります。2つ目は『信託財産留保額』。 一般的に換金時に負担する費用で、元金に対して0~0.5%ほどです。そしてもっとも注意すべきなのが、3つ目の『運用管理費用(信託報酬)』です」(宮 城さん・以下同)
これは運用する会社に支払う手数料で、投資信託を行っている期間中、毎日かかるそう。
「ファンドのタイプによって手数料は異なり、“日経平均株価”“TOPIX”“NYダウ”など市場全体の動きと連動するように設計された『インデックス ファンド』は安く、積極的に利益を追求する『アクティブファンド』は、ファンドマネジャーが投資信託を構成する銘柄を組み換えたりするため、運用管理費用 が高い場合が多いですね。さらに、同じ『インデックスファンド』でも、大手証券会社とネット証券では手数料がかなり変わってきます」
実はこの手数料の差が、利益を左右するとか。そこで具体的にどれだけ変わるのか、大手証券会社のA社と、ネット証券のB社で比べてもらいました。商品は両社とも「日経225」(日経平均株価)の動きと連動するように設計されたインデックスファンドです。
「日経225ノーロード」を、大手証券会社のA社と、ネット証券のB社で、それぞれ毎月3万円積み立てて購入した場合を仮定します。
■運用管理費用(信託報酬)
・大手証券A社=年率0.864%
・ネット証券B社=年率0.2106%
■設定条件
・(1)年利1%、(2)年利2%、(3)年利3%で運用された場合、3パターンを仮定
・平均基準価額1万円と仮定し計算しています
●1年後(元金36万円)
(1)1%の場合…36万1655円
(2)2%の場合…36万3318円
(3)3%の場合…36万4991円
【各社の手数料】(平均基準価額×信託報酬率(年率))×元金
A社:3110円(平均基準価額1万円×年率0.864%×元金36万円)
B社:758円(21.06×36)
●5年後(元金180万円)
(1)1%の場合…184万4971円
(2)2%の場合…189万1421円
(3)3%の場合…193万9401円
【各社の手数料】
A社:1万5552円(86.4×180)
B社:3791円(21.06×180)
●10年後(元金360万円)
(1)1%の場合…378万4496円
(2)2%の場合…398万1590円
(3)3%の場合…419万2243円
【各社の手数料】
A社:3万1104円(86.4×360)
B社:7582円(21.06×360)
※運用益には20.315%の税金がかかります
両社の違いは一目瞭然。1年後に年利1%で運用された場合は、A社だと手数料が利益を上回ってしまうほどです。
もちろんこれは同様の商品に限った話。金融商品は、それぞれの会社の運用実績や手数料など、様々な観点での比較が必要になります。投資信託をはじめ、投資はちょっとしたことで大きく利益やリスクが変動するので、その辺りの知識をきちんと理解しておくことも肝要です。