忙しく働くビジネスパーソンのなかには、「最近ゆっくり、映画を観てないな…」という人も多いはず。
映画の醍醐味は、ひとつの作品を入り口にして、様々な作品とのリンクを楽しめること。新作映画にまつわる著名人に、名作の数々を紹介してもらおう。
今回紹介する新作映画は、『仮面ライダー1号』だ。1971年の登場以来、今や世界中に多くのファンを持つ仮面ライダーシリーズ。その初代仮面ライダー1号が45年の時を経て復活。シリーズ不変の“愛と勇気と正義“の鉄拳アクションはそのままに、45年分の人生の重みを背負ったメッセージ性が強い作品に仕上がった。主役の本郷 猛を演じるのは、当時と同じ藤岡 弘、さんだ。
公私ともに「映画がない生活は考えられない」というほどの映画通で、ジャンルを問わず、「直感で観る作品を選ぶ」という藤岡さん。『仮面ライダー1号』と同じように、男心を熱くする映画3作品を選んでもらった。
●『ラン・オールナイト』(2015年)
監督:ジャウマ・コレット=セラ
出演:リーアム・ニーソン、ジョエル・キナマンほか
闇社会で生きる殺し屋ジミーは、殺人現場を目撃した息子を助けるためにマフィアのボスの息子を射殺してしまう。旧知の仲だったマフィアのボスは激高し、ジミーに執拗な攻撃を仕掛けてくるが…。緊迫した状況のなかでのジミーの逃亡劇を描いたハードボイルド・アクション。
「リーアム・ニーソンが演じる主人公には、痛みや悲しみを背負って生きる人間の成熟した魅力を感じるね。いざとなったら、愛する者のために自分を容赦なく危険な場所に追い込んでいく。その身を捧げる精神というか、どのような状況でも諦めず突き進む姿勢がたまらないんだよね」(藤岡さん、以下同)
●『ローン・サバイバー』(2014年)
監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォールバーグ、テイラー・キッチュほか
米国海軍特殊部隊ネイビーシールズによる“レッド・ウイング作戦”の任務遂行中、たった4名で敵地を突破し、唯一生還を遂げた元隊員の奇跡の実話をもとに描かれたサバイバルムービー。
「自分を熱くしてくれる刺激的な展開に惹かれるね。この作品は緊迫感があり、闘う男の生き様と、逆境を生き抜くサバイバル劇は自分の身も引き締まる思いがしたよ。時代をうまくえぐった作品だね」
●『続・荒野の用心棒』(1966年)
監督:セルジオ・コルブッチ
出演:フランコ・ネロ、ロレダーナ・ヌシアクほか
メキシコ国境のとある町。棺桶を引きずる流れ者のガンマン・ジャンゴはある女性を助けたことから、町を牛耳る二大勢力と死闘を繰り広げることになる。ジャンゴが棺桶から機関銃を取り出し、敵を一掃するシーンが圧巻のマカロニ・ウエスタン。
「若い頃は欧米のウエスタンものがどんどん入ってきて、マカロニ・ウエスタンにかなり影響を受けたね。あの不撓不屈の精神にかなり勇気をもらったよ。最悪の状況から這い上がって活路を見出す、前進していくその雄姿というかな。青春時代につらいことがあっても、この作品を観ることで越えられた気がするね」
小さい頃は映画『鞍馬天狗』に憧れたという藤岡さん。「白馬に乗って、黒装束に身を包んだ鞍馬天狗が、バッタバッタと悪党どもを倒して去っていく姿にワクワクしたよ」と、原点となる映画体験についても語ってくれた。
そして現代版ヒーローの原点となる“仮面ライダー”を演じた藤岡さんは、自らが少年たちの憧れの対象となった。
「『生きることはサバイバル』だから、何事にも挑戦し続けていきたいよね。リスクは当然のごとく、人生は常に己磨きの旅のようなものだから」
かつて「我未だ完成せず」という想いから名前の最後に読点“、”を付けた。その気持ちは今も変わらず、進化をし続ける藤岡弘、さん=仮面ライダー1号の活躍に刮目せよ!